中学受験を目指して勉強をしている子どもが突然壁にぶつかってしまうことがあります。
それまで順調だったのに急につまづいてしまうために、本人も当惑してしまうことがあるのですが、それが小4と小5の10月ごろに多いことから「10月の壁」と呼ばれることがあります。

そこでここでは10月の壁とは何なのか、どうして起こってしまうのかについて紹介していきたいと思います。

▼目次

センスがある子どもほど危ない

子どもは解き方が千差万別である

大学入試などになってくると覚えなければならないこと、解き方などが同じになってくるために解き方にはそれほど大きな差はなくなってきます。
落ち着いて考え、じっくりと答えを書いていかなければ解けないからです。

しかし小学生、特に低学年ごろの子どもはバラバラな解き方で問題に取り組んでいます。
よく読んで遅いながらも確実に解いていく子どもや、凄まじいスピードでまったくつまづくことなく突き進んでいく子どもがいます。

このころは正式な取り組み方を知らないことが多く、1題を解くのに数十分もかかるような難題も出ないために、センスで押し通せることがあるのです。
そして問題が短くて簡単なためにそれでも通用してしまうということがあります。
テストなどでさっさと解いてしまって制限時間まで暇になってしまっている子どもが多いのはそのためです。

センスだけでは通用しなくなってくる

小学生の低学年ごろの算数や国語を勢いで解いていた子どもも小4になるとなかなか通用しなくなっていきます。
理科や社会などの科目が受験勉強に登場してくるからです。
これらは暗記科目ということもあって、普段からコツコツと暗記していなくては解くことができません。
それまで問題を解くセンスだけで突破していた子どもはここでつまづくのです。

それに算数なども計算だけを一気にやってしまうという問題ではなく、文章問題が増えてくるだけでなく、少しずつ「受験算数」の問題が出題されるようになってきます。

大手の進学塾や家庭教師会社などのカリキュラムを見ていくと、小4になると「四則計算」「平面図形」「円とおうぎ形」などだけでなく、「和差算」「つるかめ算」「方陣算」「差集め算」といった受験算数ならではの問題が出題されるのです。
これは一般的な公立の小学校ではほとんど触れることがないような受験算数の特徴的な分野になります。
それが小4の10月くらいから本格化してくるのです。

こういった問題になってくると勢いで解くようなことはできません。
そして行き詰まる子どもがでてくることになるのです。

小5の10月の壁は深刻である

10月の壁に当たる子どもが多くなる時期

小4の10月の壁を超えて小5に突入した子どもをもう一度小5の10月の壁が襲うことになります。
小5になると理科や社会の勉強が本格化してくるだけでなく、算数がさらに難しくなっていきます。

以下は小5の算数で学習する内容の一部です。

  • ・分数のたし算・ひき算
  • ・過不足算
  • ・つるかめ算
  • ・年令算・倍数算
  • ・角・面積
  • ・規則性に関する問題
  • ・分数のかけ算・わり算
  • ・速さの利用
  • ・百分率と歩合
  • ・売買損益算
  • ・食塩水
  • ・線分比と面積比
  • ・図形の応用
  • ・食塩水
  • ・整数の性質
  • ・速さに関する文章題
  • ・和と差に関する文章題
  • ・相当算
  • ・分配算
  • ・仕事算
  • ・立体図形
  • ・場合の数
  • ・割合と比
  • ・てんびん算
  • ・倍数変化算
  • ・ニュートン算

この単元を見ればわかる通り、受験算数の中心となる算数の単元はこの小5に集中しているのです。
なんとか夏を超えた子どもをさらに難しい単元が襲うことで行き詰まっていくことになります。

子どもがつぶれてしまう前に対策を

こういった壁にぶつかることで受験勉強自体に嫌気がさしてしまって勉強をすることをやめてしまう子どもが出てくるのが小5の秋ごろです。

ここで重要になるのは「どういった壁」に当たっているのかを分析することです。
例えば理科や社会などの科目が本格化していくことで時間が足りなくなったり、子どものキャパシティを超えてしまっている場合があります。

中学受験はその志望校や受験方式によっては理科や社会が必要ない場合もあります。
志望校がある程度決まっているのであれば、受験科目に必要がない科目は削ってしまうというのも一つの方法です。

勉強の内容で行き詰まっているのであれば、それを解決していかなくてはいけません。
理科や社会で暗記内容を覚えることができないのであれば、そこに工夫が必要に
なりますし、算数の問題が解けないのであればそこを集中的に行う必要があります。
理科や社会は受験方式によって必要ない場合もありますが、算数はほぼすべての受験方式で必要になります。
わからない、苦手だ、では済まない教科でもあるのです。
早く対処することで対応していきましょう。

まとめ

中学受験の勉強をしている以上は多かれ少なかれ壁にぶつかることがあります。
しかしこの壁はその子どもの前だけにあるわけではありません。
他の受験生の前にもある壁だということを忘れずに、焦ることなく落ち着いて超えていくようにしましょう。