最近では私立でも中学と高校を一貫して6年教育をするということだけではなく、公立でも中高一貫が誕生してきました。
どちらも中学と高校を個別に考えるのではなく一貫教育することでさまざまなメリットを生み出すというものです。
しかし中学受験で私立の中高一貫教育校に入学するのと公立の中高一貫校では違っていることもあります。
ここではその違いについて紹介していきます。

▼目次

一貫教育を行うメリットとは

一般的な公立の学習進度とは

例えば普通の公立の中学に進んだ場合、中学校3年間のカリキュラムを3年間かけて進めていきます。
これは当然のようですが、進度が遅れやすい教科の場合はすべてのカリキュラムが終了する前に受験になってしまうこともあります。

例えば社会では理想は1年で地理、2年で歴史、3年生公民と進むことですが、多くの公立中学で歴史が2年の間に終わらずに3年生の一学期いっぱいまでかかっています。
すなると二学期から政治を行うようになり、三学期の受験が迫った時期にあわてて経済分野を行うことになります。
もちろん受験に対しての対策や演習などを行うような時間はありません。

これは数学などでもよく起こることで、三平方の定理がしっかりと学習されないまま受験に臨むこともあります。
高校に入っても同様で、公立の高校では3年間をかけて高校3年間のカリキュラムを完成させていきます。
大学入試は入試方式によっては秋の終わりごろには始まっていきますので、カリキュラムもばたばたと忙しくなります。

中高一貫教育校の学習進度とは

中高一貫教育校では「高校受験」を行う必要がありません。
そのためにカリキュラムを中学3年間でぶつ切りにする必要もありません。
このことから中学3年間のカリキュラムを2年~2年半ほどで終わらせて高校内容に入ることが可能です。
すると高校内容も高校2年生くらいに終わりますので、そこからは進学先に合わせて対策を取ることが可能となるのです。
3年のぎりぎりまでカリキュラムに追われている生徒との差は歴然となります。
このことによって大学への進学実績などもかなり良化、増加しているという傾向があります。
また、ずっとその学校にいるために成績の推移なども教師が把握しやすく、適切な進路指導ができるというメリットもあります。

クラブ活動の一体化、情報の共有

クラブ活動を行っている場合は、例えば中高の合同練習や合同発表なども可能になりますし、顧問が生徒を把握しやすくもなります。
また、一般の公立では中学3年の夏くらいにクラブを引退し、次に高校に入学してからまた始めることになるために半年以上のブランクが発生してしまいます。
しかし中高一貫教育校ではそもそも受験がなく、引退もしないために
ずっとクラブを続けたまま、高校に移行することができるのです。
クラブ活動に限らず生徒の情報は中高で共有化されるために、スムーズな進学が可能となるのです。

私立と公立の一貫教育の違いとは

学費面での違い

まず大きいのは学費面です。
私立では学校によって差があるのですが、平均的には授業料が年間で40~50万円ほどで、それに教育関連費や施設利用費などの諸経費が50万円ほどでだいたい年額100万円ほどになります。
高校でも100~110万円ほどが平均となり、6年間で600万円以上がかかってくる計算になります。
それが公立ではまず前半の3年間は授業料が無料で修学旅行の積み立てなどの諸経費が年間に10~15万円ほどとなります。
高校では一般的な公立の高校と同じく年額40万円前後になります。
こちらの場合は6年間でも200万円弱でおさまることになります。
これはかなり大きな差と言えるでしょう。

授業内容や進路について

授業内容は学習進度については私立と公立でそれほど大きな差はありません。
どちらも大学受験を意識したカリキュラム作りが行われており、学習進度も似たようになっています。
基本的には大学進学を目指している方針となっていますが、差が出るのは、私立の中高一貫教育校に「大学がある」場合です。
大学の下に中学や高校があるという高校ではその大学に推薦入試などによって入学しやすいという環境があります。
公立の中高一貫教育校ではそういった恩恵はありません。

地域や組織との関わり

やはり公立では他の公立高校との関わりや研修会などが開かれることがありますが、私立の場合は私学の組織に属するために横のつながりはそれほど強くありません。
ただしこれは運営側や教師には関係することですが、生徒にはそれほど関わりはないので問題はありません。
地域のつながりも公立の方がやや強いという部分はありますが、それほど目に見えて違うということはありません。

まとめ

近年少しずつ増えている公立の中高一貫教育校ですが学習面においては私立の一貫教育校とそれほど差がないところまできています。
大きく学費の面が違っていますので、それも合わせて考慮してみるのも良いでしょう。