TOEFLは英検やTOEICと並んで日本で知名度のある英語検定試験です。
ただし基本的には主に北米の大学に進学する際の指標として使用されるものですので難易度は高めに設定されていました。
しかし新しく「TOEFL Primary」「TOEFL Junior」という小中高生向けの試験にスピーキングテストが設定されるようになります。
ここではその「TOEFL Primary」「TOEFL Junior」について細かく紹介していきたいと思います。

▼目次

新しい制度が導入された背景

TOEFLとは

TOEFLのテストは英語を母国語としていない人々の英語のコミュニケーション能力を測るために米国の非営利教育団体Educational Testing Service(ETS)が開発した試験です。
120点で行われており、アメリカの一般的な大学に進学するためには80点以上をとることが目安とされています。
スタンフォード大学のような有名な大学であれば100点以上が基準となります。
「読む」「書く」「聞く」力を主に測定しており、英検のようなスピーキングを測る試験はありません。

TOEFL iBTにつなげているテストである

ETSは「TOEFLファミリー」というTOEFL iBTにつながるテストとして主に小中学生を対象としたTOEFL Primaryと中高生を対象としたTOEFL Juniorについて2018年12月1日に発表がありました。
実際にはETSと公文教育研究会が「TOEFL Primary」と「TOEFL Junior」の団体実施に加えて「スピーキングテスト」を行うと発表したものです。
最大の特徴は合格や不合格という判定の仕方ではなく、スコアで示されるということです。
世界基準で判定される点数のために様々な活用が考えられます。

それぞれの内容は

TOEFL Primaryはどのような試験か

TOEFL Primary® Step 1・Step 2は主に小中学生を対象としたCEFR A1未満~B1レベルの英語運用能力を測るテストです。
どれだけ暗記しているかではなく、実際にどれだけ使えるかということを目的としています。
結果は合格や不合格ではなくスコアとバンドレベル(段階別評価)で評価されます。
ここで出されたスコアは国際的な評価基準であるCEFRや英語読書力を示すLexile®指数とも連動しています。
習熟度に合わせてStep1とStep2に分かれていて、自分のレベルにあったテストを受けることができます。

TOEFL Primary® STEP1

リーディング/リスニング

  • ・身近な内容(学校、自宅、遊び場)
  • ・短く簡単な依頼文および道案内
TOEFL Primary® STEP2

リーディング/リスニング

  • ・基本的な表現、依頼文、指示文
  • ・日常会話の枠を超える短く簡単なストーリーや会話

試験の概要は

セクション Step 1CEFR A1未満~A2を測定 Step 2CEFR A1未満~B1を測定
問題数 時間 問題数 時間
リーディング 39問 約30分 37問 約30分
リスニング 41問 約30分 39問 約30分

となっており1時間ほどのテストです。
解答は三択のマーク式での試験となっています。

受験するとスコアレポートが出されます。
スコアレポートは英語で書かれたオフィシャルスコアレポートと、
日本語で書かれたパフォーマンスレポートの2種類が発行されます。
このスコアは世界共通のものですので海外でも通用します。

TOEFL Junior® Standardはどのような試験か

TOEFL Junior® Standardは世界の中高生を対象にされた試験でCEFR A1~B2レベルの英語運用力が測定されます。
こちらも国際的な評価基準であるCEFRやLexile®指数とも連動しています。
実用英語力を測定し、TOEFL iBTにつながる中級試験として想定されています。

試験の概要は
リスニング 42問 約40分
文法・語彙 42問 25分
リーディング 42問 50分

となっており合計で約2時間ほどのテストとなっています。
解答は四択のマーク式での試験となります。

導入されるスピーキングテストとは

今回導入される「TOEFL Primary」と「TOEFL Junior」にはスピーキングテストも導入されます。
まずTOEFL Primary SpeakingはTOEFL Primary Step1とStep2両方の受験レベルの人を対象としており、

「日常生活に関連する状況について口頭でコミュニケーションする」
「感情や心境に関して表現する」
「簡単な依頼や指示をする」
「人や物、動物、場所、動きを描写する」
「簡単な出来事を説明する」

といった内容に関して7問~10問の問題を20分ほどかけて解くことになります。
スコアレベルはリボンの数1~5個の間で評価されます。
TOEFL Junior SpeakingはTOEFL Junior受験レベルの人が対象で

「音読」
「絵の説明」
「聞く・話す(学校での活動)」
「聞く・話す(学校の授業)」

といった内容に関して4問を約18分かけて解きます。
スコアは0~16点の間でETS公認の複数のRater(採点者)により評価されることになります。

2018年12月1日から始まるのはとりあえず学校や塾などの団体向けの団体実施のみですが、2019年度内には公開テストとして個人の申し込みが開始される予定となっています。
英語の試験でスピーキングテストと言えば英検というイメージが強かったのですが、TOEFL PrimaryとTOEFL Juniorにスピーキングテストが加わることでさらに注目が集まっていくことが予測されています。

まとめ

国際化が進む世界で日本でも英語教育はますます盛んとなっています。
公的機関でも小学生から英語が正式な科目として定められており、小中学生のうちからどんどん資格試験も受けることができるようになっています。
「TOEFL Primary」「TOEFL Junior」の利用も増加傾向にありますし、スピーキングテストが加わったことでさらに多く利用されていくと考えられています。