中学受験において生徒たちが一番苦戦する科目が「算数」と言われています。

色々と理由が考えられますが一番の理由は小学校で教えている学習内容と大きくずれていることが考えられます。

「ニュートン算」や「流水算」など受験算数ならではの内容を学習しなければなりません。

そしてそれらを学ぶために進学塾に通っているのに、その塾での学習内容についていけないという不思議な状況まで起こっています。

そこでここでは「サピックス」の算数についていけないお子さん向け対策法について紹介していきたいと思います。

▼目次

サピックスとはどういった塾なのか?

進学塾はそれぞれの塾によって特色が違っています。勉強についていけなくなるのもそれらが関連していることが多くあります。

サピックスは大手進学塾の中では比較的新しく設立され、1989年にできました。設立のされかたもかなり特徴的で、もともと進学塾に所属していた講師たちが独立してできたのがサピックスです。それぞれの塾で科目を担当していた実力派の講師が移籍する際に塾生も多く移動したために塾としては珍しく設立当初からある程度の合格実績を出していました。

集団授業ですが少人数制をとっており、他の塾のように1クラスが30人ほどということはありません。

その分、クラス数が多くあり、規模が大きい校舎であれば1つの学年に10クラス以上あることもあります。これも授業についていけない生徒を生み出す原因になっています。

どうしてサピックスで算数の授業についていけなくなるのか?

大手の進学塾では講師がすべて社員というところもありますが、サピックスは「クラス数が多い」ために下位クラスのいくつかはアルバイト講師が担当することがほとんどです。

アルバイト講師が必ず実力が劣るというわけではありませんが、ずっと塾に滞在して生徒の情報をつかみ、分析できる社員と比べるとどうしても生徒理解は薄くなります。

そのため上位クラスと比べると下位クラスの授業の質はそれほど高いとは言えないというのが実状です。

また、それでも長期間同じ講師が担当していれば生徒のクセなどもつかみやすくなりますが、クラス数が多いためにクラスの移動が頻繁に起きます。すると指導する担当も変わるために生徒も落ち着いて講師と信頼関係が築けないのです。

このことに加えてサピックスの試験が非常に難しいという事実があります。

最上位クラスの生徒にはちょうど良いかもしれませんが、中位、下位クラスの生徒にとっては大半の問題が解けません。

これを実力のある講師が時間をかけて解説し、生徒に理解させる復習の時間があれば良いのですが、サピックスにはそれがありません。試験は行われるのですが、後のフォローがないのです。こういった塾の方針が上位難関校の実績はしっかりとでているものの中堅校の実績が良くないという結果につながっていると言えます。

もう一つの原因がカリキュラムの進度です。どの進学塾でも小学校で学習する単元は遅くても6年生の夏ごろまでに終了するカリキュラムを作っています。しかしサピックスは特に進度が早く、5年生のうちに小学校の内容すべてが終わるようなカリキュラムで学習が進んでいくのです。

すなわち3年生や4年生の時からサピックスで学習し、カリキュラムについていけている生徒は大丈夫ですが、途中から塾に入った場合や進度についていけていない生徒は完全におきざりにされてしまうのです。下位クラスでは生徒は座っているだけになる可能性もあります。

サピックスの算数についていくための対処法とは?

まず根本的な問題ですが、成績が中位や下位でどうしてもサピックスの進度についていけない場合は塾を変えるというのも一つの方法です。

サピックスで頑張りたいという場合にはこれらのことに注意していきましょう。まず、サピックスは「上位校」にターゲットを絞ってレベルの高い授業が行われていきます。その際、「授業で理解できなかったこと」
「基礎問題、基本問題」を何よりも重視してください。

わからなかった部分を放置してしまうとどんどんついていけなくなってしまいます。

応用問題や難解な問題を中心に行われるために基礎問題を自分で徹底的に行うことも必要です。

サピックスのテキストはレベルが高く、分量も多いために算数がそれほど得意でない生徒にとってはかなり厳しいものになります。

授業で理解できなかったことをすぐに講師に質問するか、もし保護者が指導できる場合は保護者に、家庭教師も併用して利用している場合は家庭教師に指導してもらいましょう。

指導を受けた際に、その単元の基礎問題を徹底的にやりこむことをお勧めします。

この地道な土台作りが中学受験においても最も重要になるのです。

最後に問題の「取捨選択」があります。

サピックスでは開成などの御三家に合わせた指導をしてくるために中堅校の受験に必要のない難問を取り扱うことが多くあります。

自分が志望している受験校に本当に必要な内容なのかを保護者が判断したり、講師に相談したりして取捨選択することで生徒はかなり楽になります。

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