受験生にとって「志願者数」はどうしても気になる数字です。
これによって受験校を考えたり変更することさえもあります。少子化が進んでいるために大学に入りやすくなっているという噂もある昨今ですが実際には志願者数はどうなっているのでしょうか?
最新の2018年度の大学受験志願者数を見ていきたいと思います。

▼ 目次

1、私立大学の志願者数

調査で集計が済んだところでは3月中旬の時点で前年2017年度の入試志願者数と比べると「約7%増加」していることがわかっています。
すべての大学の集計結果が出るとだいたい「6%~7%の増加」になると見込まれています。
これは2016年から2017年にかけて「約8%増」に続いてかなりの勢いで増加しているということになります。

ただしこれは実際の「人の数」が増加したのではなく、それぞれの大学が入試日程や入試方式を工夫し、複数の受験を可能としたために「延べ志願者数」が増えたものですので、実人数が増加しているわけではないことは押さえておきましょう。

大学ごとに見ていくと、まず関東地域の人気大学「MARCH」「日東駒専」では中央大が19%増、立教大が15%増、東洋大が14%増と軒並み大幅に志願者数を増やしました。
特に中央大は前年度に倍率が下がっていたことの反動が出たものと考えられています。
また、他の駒沢大が8%増、明治大が6%増、東京理科大が6%増、法政大が3%増、早稲田大が2%増、日本大が2%増と全体的に志願者数が増加しています。
このあたりの人気大では慶応義塾大だけが3%減と志願者を減らしています。

このあたりは来年度以降も急激な変化はないと考えられますが、アメフトの試合における不祥事で大幅なイメージダウンがあった日本大だけは来年度志願者が減少することが予測されています。

近畿地方では「関関同立」「産近甲龍」も全体的には志願者数は増加傾向にあります。
関大が9%増、同志社大が4%増、立命館大が2%増となっていますが関学大だけが2%減と志願者を減らしています。
これは前年度に合格者の絞り込みを厳しく行ったことが原因していると思われます。

また、「産近甲龍」では京都産大が17%増、龍谷大が6%増、近大が6%増、甲南大が6%増とそろって増加させています。
特に近大は志願者数が15万人を超えるという圧倒的な強さを持っているのが目立ちます。
 

2、志願者数増加傾向の原因と理由

いくつかの原因と理由が考えられますが、まず「定員」に関してです。
ここ数年国公立大学では文系学部の定員減少、規模縮小が続いています。
そのため文系志望の受験生が私立大学の文系学部を受験することが増えているのです。
さらに国公立大学が推薦・AO入試の合格枠を拡大したことによって一般合格枠が縮小され、併願として私立大学を受験する学生が増えたことも影響しています。

また、私立大学で行われていた「定員数よりも実際には合格者数を多く出す」ということに対して厳しく行われだした「定員管理」も影響しています。
これは定員超過率が一定の数値を超えると補助金が交付されなくなるというもので、各大学はこれを守るために合格者数を絞り込みしたのです。
年々定員超過率は厳しく設定されており2018年度には「1.1倍」まで下げられています。
このため受験生が併願校の受験を増やしたということが考えられているのです。

そしてこの定員管理は浪人生を多く生み出すことにもつながりました。
合格者の絞り込みが厳しく行われた結果、浪人生が多く出たのです。
そしてこの浪人生が昨年度、今年度と受験をしているために志願者数が増加しているのです。

「センター試験」に関係した理由もあります。
国公立大学を受験するためにはセンター試験で7科目以上を受けなければいけませんが、2018年度はその受け方をした受験生は0.2%減少しています。
しかし3科目程度を選んで受ける私立大学型の受験生は3.8%増加しているのです。
これは私立大学のセンター試験利用入試を利用した受験生が増えていることを表しています。

また、2018年度のセンター試験では英語、生物、国語などの平均点が下がり、思うように点数が取れなかった受験生が私立大の併願を増やしたことも影響しています。
特に国語は三年前に平均点を急激に上げてからは連続して平均点が下がってきています。
こういったことも理由となっているのです。

最後に「入試方式の変化」があります。
これは2020年以降にセンター試験が「共通テスト」に変わることに伴って英語が外部検定などの民間資格を利用できるようになることが関わっています。
法政大、立教大、中央大などではすでにそういった入試方式を導入しており、それらも志願者数の増加に影響しています。

3、2019年度の展望

まず近年「看護」「教育」「国際」関係の学部の増設、新設が目立っています。
京都産大、立命館大が国際系の学部を新設します。
これは龍谷大や近大に対抗したものと考えられます。また根強い人気を誇る看護系や教育系も増加傾向にあります。

関東では早稲田大の教育学部で指定校推薦が導入されます。
ただしこれは枠が限られているために大きな影響はないでしょう。

来年、再来年は「英語外部検定利用」を取り入れる大学が増加していくことが予想されます。
計画的に英語検定なども視野に入れていきましょう。