保護者や教師が指導しているときに一番困るのは「生徒の性格」による勉強への弊害です。

単純に勉強がわからないのであれば指導すれば良いのですが、生徒の性格や資質といったものは、なかなか変えることができません。

もちろんそれがプラスになる資質であれば問題ないのですが、なかにはマイナスに作用してしまうものもあります。「引っ込み思案」もその一つなのです。

ここでは、どういったタイプが引っ込み思案なのか、引っ込み思案であればどのような弊害があるのか、引っ込み思案を治すにはどうすればよいのかについて述べていきたいと思います。

▼目次

1、引っ込み思案な生徒とはどのような生徒のことをいうか

たとえば、授業中にクラスの生徒に向かって「わかる人、手を挙げて」「意見がある人、自由に発言して」と教師が投げかけたときに「必ず手を挙げたり発言する生徒」「内容によって手を挙げたりする生徒」「答えがわかっていても絶対に手を挙げない生徒」に反応が分かれます。ここでいう引っ込み思案の生徒とは絶対に手を挙げない生徒のことを指します。

家庭内で言えば、保護者や兄弟とは普通に会話することができるが、初対面の人、あまりよく知らない人、家の外(学校や塾など)では、まったく話をすることができずに下を向いてしまう生徒がこれにあたります。

2、引っ込み思案であることで損をしてしまうこともあったりします

引っ込み思案なのはその子の性格で個性だから仕方ないと言ってしまえば、それまでなのですが実は現実的に損をしてしまうこともあるのです。

まず、学校ではテストなどの考査点と提出物や普段の授業態度から出される平常点によって成績が決定されます。

引っ込み思案の生徒はこの平常点で大きく損をすることが多いのです。教師は授業中、生徒の反応を見ながら話をしています。

そのときに常に下を向いていたり、手を挙げなかったり、不安そうな顔をしていたりすると、「この生徒は理解していないんじゃないか」と印象付けられてしまうのです。

積極的に手を挙げたり、話をしているときに常に教師の目を見ている生徒と比べればどうしても差がついてしまうのです。

こうして出された平常点は内申点として出されるために就職や進学に対して不利になってしまうことは否めません。

また、進路について悩んでいたり、授業でわからない所が出てきたりした時も引っ込み思案の生徒は教師に相談しに行くことができません。

もちろん教師がその気配に気づいて教師の側から反応してくれれば良いのですが、教師も忙しくすべての生徒の様子にまで気付かないこともあります。

こうして相談できなかったために、不利益をこうむってしまう場合があるのです。

3、引っ込み思案な生徒さんにはどのような勉強方法が適しているか

引っ込み思案な生徒は中学受験の進学塾などでは周りの雰囲気に圧倒されてしまう可能性があります。

ああいった場所では「他の子と競うこと」「他の子に負けないこと」を叩きこまれます。

引っ込み思案な生徒はその雰囲気に気おされてしまってどんどん意欲を失っていくのです。

そのために一般的には自分のペースで勉強をすることができる個別指導方式の塾や家庭教師などが向いているとされます。

まずは他の生徒との競争心に駆り立てられることなく、落ち着いて勉強ができるからです。

しかし、いつまでもこのままというのは危険だと私は考えています。

そのときにそうやって避けていても最終的には受験は競争です。

それまでそういった雰囲気から避けていても模試や本番の入試ではその雰囲気の中で競い合わなければいけないのです。

そのときにいきなりそういった雰囲気に放り込まれて全力が出せるかどうかはわかりません。やはり最後まで避けたままではいけないのです。

かといって最終的に必要だからガンガン無理やりさせるというのも間違えています。

それをしてしまうと慣れる前に潰れてしまいます。自分のペースで勉強をしながらも少しずつ他へも目を向けさせていって、その意識を持たせていくことが重要なのです。

4、勉強に対しての取り組み方はこうしてみる

引っ込み思案の生徒は落ち着いたペースで冷静に問題に取り組んでいけるという長所と、新しい内容の問題、少し難しめの問題に対しては消極的になるという欠点があります。

この場合、基本問題などはしっかりと取り組むことができているので、その部分ができていることを褒めた上で、少しずつ難易度を上げていくのが良いでしょう。

地道な学習進度にはなりますが、その分だけ定着も安定しますしミスの少ない答案づくりができる生徒になります。

また、点数の目標や志望校を選ぶ際にもだいたいの見込み値よりも低い所を言ってきたりします。

これに対しても否定してしまうのではなく、「じゃあとりあえずそこを目標とするけれども、ものすごくうまくいった場合の目標も聞かせてほしい」という聞き方で、もう一段階上の目標を設定させるようにしましょう。

引っ込み思案の生徒の場合は、だいたいこちらが適正目標であったりします。

まとめ

引っ込み思案は本人の学力による問題ではなく、性格や資質に関することのためにすぐにどうにかなるものではありません。

かなり長期的に考えて少しずつ積極性を促したり、目標を高めたりするようにしましょう。

決して頭ごなしに注意したり、むりやり積極性をもたせようとしてはいけないのです。