やる気のない生徒さんのやる気スイッチを入れる方法
子どもにもっと勉強してほしい、この思いをどれだけの保護者が持ってきたことでしょうか。しかし子どもは保護者が思うほどやる気になってくれないものです。だからといってむりやり「勉強しなさい!」と言って勉強するのは小学校の低学年くらいまででしょう。しかもこのやり方で勉強してもあまり効果はでません。
これは保護者が大きな勘違いをしているからです。やる気スイッチを入れるのは「保護者や教師」ではなく、「生徒本人」ということです。あくまで保護者や教師は、やる気スイッチを入れる手伝いをするだけなのです。ここでは、その手伝いの方法をいくつか紹介していきます。
▼目次
1、場合によっては報酬を約束することも有効?!
この方法は昔から使われてきた方法です。
とにかく「何点とったら何かを買ってあげる」「良い結果を出したら小遣いを上げる」という報酬を約束して生徒を動かすのです。
実際に報酬を約束したグループと報酬を与えないと断言したグループで同じ試験に臨ませたところ、報酬を約束したグループの方が圧倒的に良い結果を出したのです。この結果を考えると報酬を与えることは有効な手段のように思えます。
しかしこの方法は、大きい危険性も秘めています。一度報酬を約束された生徒は次の試験の時も報酬を要求します。この時に報酬を与えなかった場合には以前よりもやる気がなくなり、深い喪失感を抱くということも検証されているのです。
つまり報酬を与えて結果を出させるということは常に継続していかないと効果を保つことができず、しかも報酬の内容は回数を重ねるごとにエスカレートしていく傾向があります。
報酬を与えてやる気を出させるという方法はこういった危険性を踏まえた上で、極めて短期的に結果を出さないといけない場合にのみ使用する方が良いでしょう。
2、負けん気が強いタイプは競争心を煽る
負けん気が強いタイプの生徒に対して有効的な方法です。
本来の教育論としては誰かと比べるために勉強はするものではなく、自分自身を高めるためにするものです。その考え方からすると誰かと比べて勉強をするというのは間違いのようですが、現実的には学力考査、受験、資格取得、就職試験などすべて他人との比較で優劣がつけられるものです。
競争心を持って試験に臨むというのは決して間違いではないのです。かといって生徒にそこまで難しい論理をぶつける必要はありません。もっと単純に身近なあの子よりも良い点数を取りたい、そう思わせることで十分なのです。
しかしこの方法にも欠点があります。生徒によっては高い効果が望めるこの方法ですが、あまり競争心が強い生徒でなかったり、極端に内向的な生徒であったりする場合には委縮してしまってプレッシャーばかりが強まってしまい、完全に逆効果になってしまうことがあるのです。生徒の性格や性質をよく考えて行う必要があるでしょう。
3、危機感を募らせるのは効果がない?!
これも行われている保護者が多い方法です。このままの状態では志望校に行けない、良い将来が待っていない、落ちこぼれるというように危機感を煽って勉強をさせるという方法です。
しかしこれはほとんど効果がないだけでなく、反発心やさらにやる気をなくしたりする可能性があります。必要以上にプレッシャーを与えたりマイナスな未来ばかりを示すのは止めておいた方が良いでしょう。
4、褒めることは特効薬?!
やる気がない生徒とは、あまり褒められたことがありません。また、自分が実際に勉強をしていないので褒められるとも思っていません。その中で、あまり露骨にならないように、極端にならないように褒めるというのは非常に効果的です。
点数が出てないうちは褒めるのは難しいのですが、褒めようはいくらでもあります。「この問題が解けたのはすごい」「この教科がよくできている」と部分的に褒めることから始めるのが効果的です。
褒められると、やる気スイッチと言われる「線条体」が反応します。線条体は運動機能に関係していると言われる器官ですが、意思決定にも関係していると言われている器官でもあります。
そのためにここが反応して勉強しようと思うことがやる気スイッチと例えられるのです。
褒められることによってこの線条体が反応していけば、褒められることが快感になっていき、もう一度その快感を味わうために「勉強する」という意思決定をするようになるのです。
もちろんあまりにもわざとらしい褒め方はいけませんが、少しずつ褒めていくことはやる気を出させるには非常に効果的と言えます。
5、目的を持たせましょう
私も色々と生徒に試してきましたが、もっとも効果的でしかもやる気が持続したのはこの方法でした。生徒がやる気にならないのは、なぜ勉強しないといけないのかがわかっていないからです。保護者や教師に勉強しなさいと言われるだけで、自分がやろうと思っていないからです。「色々な職業を紹介し、その職業に就くまでの道筋を教える」「偏差値別に学校を紹介し、それぞれのメリットを伝える」「専門科やコースなど具体的なことを教えて少し努力すれば行けるという方法を教える」というような「勉強させる」よりも「勉強するように仕向ける」ことを意識して指導するのが一番理想的と言えるのです。