国際化社会が進む中で「語学留学」も頻繁に耳にするようになっています。その形態も様々で個人で行く場合、大学在学中に行く場合などがあります。しかし「語学留学」のことをどれだけ正しく理解しているかとなると、かなりあやしくなります。とりあえず語学留学すれば言語をマスターして帰ってくる、などということは絶対にありません。確かな効果もわからないのに費用だけは数百万円かかる場合もザラにあります。ここでは現在行われている語学留学の現状について紹介していきたいと思います。

▼目次

1. 間違えた語学留学の認識

英語を例にとって考えてみると中学と高校で6年間。最近では小学生から英語の授業があるので実際にはもっと長い間日本人は英語を学んでいます。しかし大学生や社会人になってペラペラと英語を話すことができる人は非常に少ないというのが現実です。片言の英語、単語だけ並べるというのが関の山でしょうか。そんな大学生が正しい語学習得を理解していないのにとりあえず語学留学をしてすぐに英語をマスターして帰国できるわけがないのです。そういった語学留学の間違えた認識をいくつか述べていきます。

まず語学留学をすると現地の語学学校に通うことが多くあります。これは自然な流れなのですが、語学学校に通ったから安心というわけではありません。そこに通っている生徒は自分と同じ「英語が母国語でない」人たちなのです。つまり、その学校でそういった世界各国の生徒と会話をしたところで「本物の英語」ではないのです。もしかしたら同じ日本人も通っているかもしれません。そんな人と日本語や片言の英語で話をしても何の効果もないのです。

しかし、実際には語学学校の教師が話すネイティブな英語はスピードも速くて聞き取りにくい。でも留学生とならゆっくりとした英語で話せるので楽だというので、せっかく語学学校に通っているのに留学生とばかり会話している人がいるのです。これでは日本国内の英会話スクールに行っているのと何も変わりません。「友人を作るな」「留学生と会話するな」というわけではありませんが、せっかく本場の語学学校に通っているのですから、ネイティブスピーカーと話をしなければ意味がないのです。「海外へ行けば安心」「語学学校に通えば安心」というのではなく、そこで学んで修得するという心構えが必要なのです。

2. 語学留学でしっかりと結果を出すにはどうすればよいか

まず焦ってはいけません。語学の修得はそんな簡単にできるものではないのです。簡単にできるなら日本人はみんな英語を流暢に話すことができているでしょう。英語の基本は「聞く」「話す」です。なんとなくぼんやりと英語を聞き流すのではなく、どういった発音をしているのか、をしっかりと聞き取って自分で実際に発音をする。その繰り返しです。それを焦ることなく繰り返していれば「R」と「L」の発音の違いが感覚的にわかってくるでしょう。

そして自分から積極的に修得しようという行動をとらなければいけません。日本人で多いのは「受け身の姿勢」です。なんでも「教えてもらうもの」だと思っているところがあります。これは語学の修得に限らず他の教科の勉強でも、仕事についても専門的な技術についてもそうですが、「教えてもらう」という姿勢では何をやっても身にはつきません。外国に留学しているのですから日常生活そのものが語学を学ぶチャンスです。その考え方をしている人は積極的に貪欲に自分のものとしていきますので修得も早いのです。

他の留学生との付き合い方もしっかりと考えましょう。まず他の留学生の英語の修得度合いを気にしてはいけません。自分よりもできている、自分よりも下だということを考えているようでは語学をマスターはできません。自分の修得ですので他人の修得度合いは関係ないのです。そしてその英語を修得中の留学生とゆっくりとした英語を話して、お互いになんとか理解しあってくれる関係に慣れてはいけません。話すには気が楽な相手かもしれませんが、それでは英語はマスターできないのです。自分が高いお金を払って語学留学をしている目的をもう一度考えましょう。

日本で学んだ英語を引きずるのもいけません。日本人は中学や高校で学んだ英語をベースにしたがりますが、あくまでもそれは6年間学んで会話することもできなかった英語です。日本の学校で学ぶ英語は実用性からほど遠い「受験のための英語」だとよく言われています。まったく使うなということではありませんが、それをベースにしてしまうと吸収が悪くなります。現地で学んだネイティブの英語を素直に吸収する姿勢が重要なのです。

3. まとめ

現状としてはせっかく大金を払って語学留学をしていても満足に語学をマスターできないまま帰国している学生が多くなっています。その目的と方法をもう一度整理して、意欲的に謙虚に自然体でネイティブの言語を吸収していくことこそが価値ある語学留学と言えるでしょう。