化学は理科のなかでももっとも受験で選択する学生が多い科目です。では簡単かというと決して簡単ではなく、どうしようもないほど専門性が高いわけでもありません。ただ、化学の中でも「基礎」「無機」「有機」「理論」とさらに分野が分かれているということが化学を難しくさせています。
また、理科のなかでは物理は「理解」や「応用」の割合が多く、生物は「暗記」が多くなっています。化学はその間くらいと言えるでしょうか。式を立てる際に覚えておかなければいけないものも当然数多くありますし、実際に式をたてて解くということもする必要があるからです。そのため両方が重要になります。どちらかができていないと点数を取ることができないのです。
ここでは化学の勉強の仕方、復習の仕方を紹介していきたいと思います。

▼目次

1、全体的な方針

まずは「基礎」から勉強していくことになります。原子やイオンの基本的なことを押さえていき、それが派生して「無機」「有機」「理論」へとなっていきます。もちろん少し内容が重なる部分があったり、物理と重複する部分があったりもします。また、「基礎」が「理論」に含まれてしまっている場合もあります。
しかし一般的には「無機」「有機」「理論」はそれぞれを一つずつ勉強していくという形になります。細かくは後で述べていきますが、イメージでいうと「無機」は暗記が圧倒的に多く、「有機」は暗記と理解が半々ずつ、「理論」は理解と応用の方が多くなっています。そのために勉強の仕方も変わってくるのです。

また「化学」の特徴として暗記部分と応用部分が密接な関係にあるので、それぞれが完全に分離しているわけではありません。そのために「暗記だけ」を行う勉強法はあまりおすすめできません。どちらかと言えば「演習問題を解きながら出てきた単語や用語を覚えていく」という方が効率的と言えます。暗記があるとは言え、出題される単語は似たものが多いという事実もあります。単語ばかりが並んでいる本をただ眺めて暗記しているというのは化学の勉強としては正しいとは言えないのです。

2、無機化学の勉強

暗記が多い分野ではありますが、地理の用語のようにはっきりとこれを覚えていくというものではなく、なかなか覚えにくいといわれています。とにかく単語だけを単独で覚えていくのではなく、「気圧が低いところだと平地よりも低い温度で沸騰する」というような身近な事例と重ね合わせて覚えていくと覚えやすくなっています。また図解したものでは色や形で印象付けて覚えていくのが良いでしょう。文字で理解しようとするとそのものがイメージしにくくなります。

そして無機化学の中心になる化学反応式は「酸化」と「還元」、「酸」「塩基」の式です。
酸化と還元は中学の理科でも出てくるものですのでイメージはしやすいかもしれません。酸と塩基の反応式の方に力を入れましょう。

3、有機化学の勉強

有機化学は「暗記」で覚えた知識を、組み立てて「応用」していくものです。そのためにまず基本的な用語とルールを覚える必要があります。この時、覚えなければいけないものを系統立てて覚えていく必要があります。

「脂肪族化合物」「芳香族化合物」「油脂」「糖類」「タンパク質」「合成高分子化合物」「生命」「物質」などを順序良く覚えましょう。
ここで特に注意するとすれば、タンパク質についてでしょうか。一般的な入試で頻出なのは「中性アミノ酸」ですが、難関大学を受験する場合は酸性アミノ酸や塩基性アミノ酸も覚えておかなくてはいけません。

覚えることが多くて大変なイメージがありますが、それぞれの基本パターンを覚えてしまえば自分で反応式が書けるようになるためにわかりだすと一気に進む感じです。

4、理論化学の勉強

まずは基礎知識が重要になります。物質・原子・イオン・周期表などをしっかりと覚え、応用できるようにしていきます。

そして理論化学の中心となる「物質量計算」「濃度計算」「化学反応式の量計算」に入ります。おそらく慣れるまではこの部分が一番苦労するでしょう。この時に気をつけることは「単位」です。式を書いていると単位があやふやになることがあります。この分野で式があやふやになってしまうと後で取り戻すことができません。必ず途中式でも単位を書いていくという癖をつけておきましょう。この「基礎知識」と「単位への注意」があればあとは地道に演習をこなしていくだけになります。

また、ここをクリアすると理論化学の応用に入っていきます。熱化学や気体といった物理と重複する部分や、酸化還元、気体、溶液などとあちこちの単元に関わっていきます。しかしまったく違うと感じる必要はありません。基本的な考え方があれば対応することは可能だからです。

まとめ

もっとも受験生が多い化学であるために点数もバラけがちです。そのためにここで点数を取ると他の受験生に差をつけることができます。「基本的な知識があった上で応用する」というのが化学です。それを踏まえて復習をしていきましょう。