勉強をはじめても集中力が続かない、継続して勉強ができないという生徒が多くいます。教師や保護者がそんな生徒の姿を見ると「集中して勉強しなさい」と言ってしまいがちです。しかし、そう注意したからといって生徒が集中して勉強し始めるでしょうか?おそらくそうはならないと思います。

ここでは「なぜ集中できないのか」「集中するにはどうすればよいのか」について紹介していきたいと思います。

▼目次

1、「勉強しなさい」は実はとても曖昧な言葉です

家で寝転がってマンガを読んでいる、ゲームをしている子供をみるとついつい「勉強しなさい」と言ってしまいがちです。もちろん、それで子供が黙々と勉強をしていけるなら何も問題はありません。

しかしほとんどの場合はあまり効果がないでしょう。これにははっきりした原因があって、「勉強しなさい」という言葉がとても曖昧な言葉だからです。

大人に置き換えてみると、まだ自分で計画的に仕事をすることができない社員に対して「仕事をしなさい」とだけ言っているようなものです。

これでは集中して仕事に取り掛かることなどできないでしょう。

何をすれば良いのか、どれだけすれば良いのか、いつまでにすれば良いのかといったことが何もわからないからです。

そのために子供を動かそうとするときは具体的に「この教科の勉強を」「この問題集を使って」「このページまでをやって答え合わせをして」「間違えたところをすべてやりなおしをする」というように言わなければ子供は動けません。

何をすればよいかわからない状態では開始もできない上に続けていくことができないのです。子供に指示をするときは「具体的に」指示することを心がけましょう。

2、集中力は基本的に続かないものであることを知っておく

集中力を専門に研究している学者がどれくらい人間の集中力が継続するものなのかを調べたことがあります。

その結果、自分が興味を持っていない事柄に対しての集中力は「15分」が限界でした。実際これくらいしか集中力は続かないものなのです。

しかし子供によっては何時間も連続で勉強をしたりしていますし、ゲーム好きな子供などは何時間でもぶっとおしでゲームをすることができます。それはなぜでしょうか?

実はこれには2つ理由があります。

まず1つは一度切れた集中力がすぐに継続してスタートしているということです。15分ごとに軽く伸びをしたりウロウロと散歩したり何かを飲んだりすることですぐにリセットして続行しているのです。

もう1つは行っていることが「自分が興味があること」「自分のためになっていると思っていること」である場合です。

趣味などは完全に前者です。受験勉強や定期考査は後者でしょう。

勉強が趣味、という子供はなかなかいないでしょうから後者をおすすめすることになると思います。

これも大人に置き換えるとわかります。自分がまったく興味のない話で自分の将来に関係のない話を真剣に聴き続けるでしょうか?おそらく聴かないと思います。

つまり子供に勉強をさせる前に、なぜしないといけないのか、したらどういう良いことがあるのかを理解させなければ子供は集中して勉強はできないということなのです。

3、勉強をする環境は適切でしょうか

よく子供は落ち着いて勉強したいから自分の部屋で一人で勉強をするといいます。

しかしこれも良くありません。自分の部屋には様々な誘惑があります。マンガがあり、ゲームがあり、スマホがあり、ベッドがあります。しかも誰も見張っていないので何をしていても他の人にはわかりません。

そんな環境で集中して勉強し続けることができるでしょうか?おそらくすぐに休憩と称してスマホをいじってみたりするようになります。

そのうち休憩の時間の方が長くなるでしょう。つまり一人部屋で勉強させるのは危険なのです。

では、どうすればよいか、他の家族がいるリビングでさせるのが正解です。

もちろん大音量でテレビをつけていたり大声で子供に話しかけたりしてはいけません。ただ、日常空間で勉強させるのです。

この状態の方が集中力が継続するとすでに実証もされています。いつもの環境で、周りに人がいると適度な刺激と緊張が続くということになるのです。

ただし、音楽を聴きながら勉強をすることは絶対にいけません。

「リズムよく勉強できるから」という理由で音楽を聴きながら勉強をする子供がいますが、あれは音楽のリズムに体が反応しているだけで決して勉強のリズムが良いわけではないのです。

しかもその期間は音楽が意識のほとんどを占めているために、後で思い出してみるとその間にしていた勉強内容はほとんど残っていません。

音楽は完全に休憩中に聴いてリラックスするのには使えますが、聴きながら勉強するものではないということを意識しておきましょう。

まとめ

集中した状態で勉強を続けることは難しいことではありますが、集中できない原因を取り除いていくことで比較的集中しやすい環境をつくることはできます。まずはそこから取りかかってみましょう。